ミツバチジュエル
☆幼馴染との思い出☆

運よく家にいた貴斗を呼び出した時、ランチを奢ると約束した。

ランチひとつで釣るという訳ではないけれど、こちらの都合で呼び出すのだから、それくらいは……と考えた訳で。

単なる幼馴染の私達は、今までずっとギブ&テイクをモットーに繋がっていた。


私の休憩時間に合わせて、一階のカフェで待ちあわせをしたのだけれど……。

カフェの入り口で、文庫本を読んで待っている貴斗を発見。

他の人がみんなスマホをいじって待っている中、彼だけが文庫本、というところが少し意外だった。

昔は本より断然ゲームだったのに。


「お待たせ! じゃあ、入ろうか?」

少し遅めの時間ではあるけれど、相変わらず混んでいて店内は満席だった。

テラス席に空きを見つけて、二人でそこに座る。


「今日って休みだったんだね」

「おう。昨日は結構忙しかったけどな。指輪切って、救急搬送して、夕方からは企業の研修会でAEDの使い方を指導した」

サンドイッチを食べながら、ふむふむと頷いた。

ちなみに、救急救命士である貴斗は、消防士と間違われるほどいい体格をしている。

サンドイッチ1セットだけで足りるのだろうか……。
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