ミツバチジュエル
……何だろう、まるで首を絞められたかのような息苦しさ。
今までに感じたことのない胸の痛みと苦しさに、どうしたらいいのかわからなくなる。
喉をさわってみたけれど、別に何かに絞められている訳ではない。
なぜ、自分がこんな状態になったのかわからないまま、目の前が暗くなってきた。
「わかった。すぐその指輪は切るぞ。まず毒を出す処置をして……おい、咲、大丈夫か?」
椅子に座っているのが辛くなった私は、テーブルに突っ伏した。
飲みかけのカフェラテがテーブルに広がり床にこぼれたのを見て、お店の人に申し訳ないなと思いつつ。
「何か、苦しいよ……」
こう伝えるのがやっとだった。
薄れゆく意識の中で、貴斗が必死に叫ぶ声を聞いた。
「誰か『ジュエリー・アイズ』へ行って、リングカッターを持って来てください! 救急車を要請しますから、テーブルをよけて! アナフィラキシーショックです! 時間がありません!」