ミツバチジュエル
「だからさっき刺されてアナフィラキシーショックで倒れたって訳。これからは蜜蜂に刺されないように注意して、エピペンっていう自己注射薬を持ち歩くことだな」
「うん」
「マジであとちょっと遅かったら、死ぬところだったぞ」
「そうかも。だって、寝ている時、お花畑が見えたもん……嘘だけど」
笑いながら言ったら、貴斗が私の頭にげんこつをひとつ。痛いってばもう!
「ちょっと! 一応生死の境を彷徨ったんだから、グーで殴るのはやめてよね!」
「そこから生還させたんだから、冗談の前に何か大事なこと、言ってもらってもいいよな!」
真剣な顔でそう言われて、しゅんとした。
貴斗がそこにいなかったら、私は本当に死んでいたかも知れない。
私がいきなり死んだら、両親はどうなっていただろう。
色んなことが頭をぐるぐる回った。
私、まだ、死ねないよ。