ミツバチジュエル
ちょっとだけ、残念だな、と思った。
すると。
「それだけじゃないよ。ぼくもサキをまもりたいっておもうから。サキがだいじだから、サキがピンチのときは、ぼくがたすけにいくんだ」
「ありがと! じゃあ、タカトがピンチのときは、サキがたすけにいくからね」
「あるかな、そんなこと……」
「あるもん! サキだって、タカトのことだいじだから、たすけにいくもん!」
ちょっとだけ、恥ずかしくなった。
タカトのTシャツについている、黒いクマの顔に向かって、話しかける。
「タカトとずっといっしょにいられたらいいのにな……」
ちらりとタカトの顔を見ると、満面の笑みを浮かべていた。
「けっこんしたら、ぼくはずっとサキのこと、まもってあげられるね」
じゃあ、決まりだよ、と言って。
「おとなになったら、サキとぼくはけっこんして、サキは『まえかわ さき』になるんだ」
「まえかわ、さき?」
「そうだよ。ずっとずっと、いっしょだよ」
園庭の隅っこで、ウサギ達に見守られながら、プロポーズされた。
甘酸っぱい思い出はいつも、ウサギ小屋の臭いまで一緒に脳内で再生されることとなるのだけれど。