人間関係のパラドックス

耳を疑う言葉

不穏な噂というものは、アヤカの印象を大きく覆すものであった。

「おい、トシ。お前、アヤカと仲が良いよな。」

同じく2年2組の陸上競技部のタクである。

俺が小学校の頃からのダチ公であるが、タクには驚くべき特徴がある。
それは情報網の大きさだ。
タクは学年の中でもトップクラスの情報網を有しており、稀に俺に情報提供し

てくれる「すごいヤツ」なのだ。
それはさておき、俺はタクに、

「ああ、なんか絡んでくる事が多いからな。」

とタクに返した。まあ、本当の事だ。
それを聞いたタクは少し表情を悪くして俺に聞こえる程度の声で言ってきた。

「アヤカってやつ、裏が酷いって噂だから気をつけといたほうがいいぜ。なんでも、喧嘩の仲裁で先生が入ってきたら言葉巧みに自分を被害者に仕立て上げるって話だぜ。」