恋の契約は永遠に



私は社長にコーヒーとクッキーを持って行った。


「お口に合うかどうかわからないですが」


そう言って社長の座っている前に置いた。


「美味しそうだ!僕一人で食べるのも寂しいから片瀬さんもコーヒー飲んで休憩して一緒に食べよう」


社長にそう言われてしまったら食べないわけにはいかない。


「わかりました、私もコーヒーを淹れてきます」


私が立ち上がりコーヒーを淹れに行くと、社長がクッキーを食べる前に携帯の着信が鳴り、社長は電話にでた。


私がコーヒーを淹れて戻ると大事な話をしているのか、社長の顔が真剣な眼差しになっていた。


その横顔に一瞬ドキッとした。


私はコーヒーを一口飲みクッキーを手に持った時だった。


「じゃあ今から向かいます」


そう言って社長は電話を切った。


「ごめん片瀬さん、せっかくコーヒーとクッキーを淹れてもらったけど、本社に来客が来て今すぐ戻らなきゃいけなくなったんだ。でもせっかくだからこれ貰うね」


そう言った社長は私の腕を口に近づけて、私が手に持っていたクッキーを口に入れた。


一瞬だったけれど指先に社長の唇が当たり、私は突然の出来事に心臓が爆発しそうなくらいドキドキして、だけど体は動かなくて固まっていた。


「旨っ、じゃあまた明日ね片瀬さん」


そう言って社長は何事もなかったように本社に戻って行った。


社長って誰にでもあんな事するの?
恋人とかなら分かるけど……
何だか働きだして社長にはドキドキさせられすぎだよ。


私に気があるんじゃないかって勘違いしそうになる。



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