恋の契約は永遠に
「麻耶(まや)、今は派遣社員だから色々な会社に行ってるじゃない?正社員で働くと出会いを考えれば同じ会社の人か、得意先の人だったり合コンだったりとかになると思うんだよね。でもそれを違う意味で捉えたら出会いのチャンスがあるって思わない?良い人と巡り会うかもしれないし、それ以外にも正社員になれるチャンスだってある。恋愛だってトラウマはあるけど、恋愛に対して前向きに考えればなくなるかもしれないじゃない?いつまでもあんな馬鹿な男の事で麻耶が幸せになれないのは許せないしね」
美沙は少し悲しげな顔をしながらそう言うと、ビールを一気に飲み干した。
確に美沙が言うように、出会いのチャンスはいくらでもあるかもしれないし、何度か口説かれたりした事もある。
でも色々と考えちゃって、私が派遣だから期間満了で会社を辞めるのと同じで、用がなくなったら派遣を切るみたいに、いつでも捨てられてしまうんだろうなって、自分の中でそう思ってしまっていた。
いつまでも過去から抜け出せないのはよくない事はわかっているけど、どうしてもマイナス思考でしか考えられない。
前に進みたい気持ちは私だってある。
私もビールを飲み干して美沙に言った。
「確に美沙の言うとおりで、前に進まなきゃ恋なんて出来ないよね」
「そうだよ、私は麻耶の幸せを願っているんだからね?」
そう言いながら二人でまたお酒を注文した。
「あっ、思い出した!来週から新しく行く派遣先は頑張り次第では正社員になれるかもしれないんだって」
「良かったじゃない、それを早く言いなさいよね?頑張って正社員とステキな彼氏をゲットしちゃいなよ」
そう美沙は笑顔で言った。
私が次に行く会社は化粧品を取り扱っている事務だ。
急遽人か辞めてしまったらしく、短期ではなく長期で、仕事を覚えて続ける気があるならその会社の正社員になれるみたいだ。