恋の契約は永遠に
「よーし決めた!正社員に必ずなって彼氏も作って見せる」
もう直ぐ27歳、片瀬(かたせ)麻耶はそう宣言した。
「麻耶の正社員とステキな出会いを祈って乾杯」
二人で乾杯をして、その日は居酒屋を出た後は美沙の家で飲み明かした。
お酒に酔った勢いもあったけど、前に進む事を決意した日でもあったーーー
「今日からお世話になります、派遣会社から来ました片瀬麻耶です。宜しくお願い致します」
翌週の月曜日、私は新しい派遣先に出勤し、皆の前で挨拶をした。
人数は十人程で、挨拶をした後は店長から二階の部屋で説明を受けた。
「サロンの店長をしている古賀幸恵(こがゆきえ)です、宜しくお願いします。片瀬さんにはこの部屋で事務の仕事をしてもらうんだけど、働いていた子が急遽辞める事になって、引き継ぎをしたくても出来ない状況でね……私は他のサロンにアフターに行ったりと忙しいし、他のスタッフにも営業に集中して欲しいからバタバタしちゃうけど、社長がもう少ししたら来るから社長が片瀬さんに事務の仕事を教えてくれるから。私の兄なんだけどね。私はこのサロンを任されていて社長は本社に居る事が多いけど、暫くは来てくれるから安心して!じゃあ社長が来るまで納品書にうちの印鑑をこんな風に押して待っていて」
店長は私に説明をすると、一階に急いで降りて行った。
社長直々に事務の仕事を教わるなんて緊張するな……。
でも店長は兄って言ったから男の人だし怖かったらどうしよう。
店長も私とあんまり年齢はかわらなかったし、兄である社長も三十代前半くらいかな?
とにかく私は自分に与えられたデスクに座り、納品書に印鑑を押していた。
一時間くらい印鑑を押す作業を黙々としていると、扉が開いた。