恋の契約は永遠に
「驚いた?まさかマンションの一室に、サロンと同じように洗面台があるなんて思わないよね?普通なら洗面台は一台、お手入のテーブルに鏡は置けたとしても、お客様の予約と時間が三人重なったとしたら、その日の同じ時間帯でしかお手入れが出来ないとなれば先延ばしになるから、それはしたくなくて内装工事したんだ。じゃあ片瀬さん、このターバンを付けてエプロンをしようか」
「はい」
私は社長に言われた通にターバンを付けてエプロンをした。
「それじゃあまず、せっかく綺麗にお化粧しているけどクレンジングで落とそうか。まずは石鹸で手を洗って、タオルで拭こうか」
「はい」
手を石鹸で洗い、タオルで拭くと社長はクレンジングの説明と使い方を丁寧に教えてくれた。
「じゃあ僕がやり方を教えるから覚えてね」
そう言って社長は私の後ろに立つと、私の両手を持ち、クレンジングの付け方を教えてくれた。
教えてくれてるんだって理解していても、後ろから両手を持たれ、少し密着してるからドキドキしてしまって、鏡に移る自分の顔もまともに見れない。
勿論、社長の顔も鏡に写っているし、お手入れしてもらってるだけなのに、何故か胸がドキドキしてしまう。