恋の契約は永遠に
「じゃあさ、プライベートでは社長って言う仮面を外すよ」
「仮面?」
「そう、そっちの方が俺も楽だしね。片瀬さんも今は俺を社長って思わず敬語もなし、男友達みたいに気楽な感じで接してくれたらいいから」
急にそんな事を言われても……。
それにいつも社長は"僕"と言っているけど"俺"に変わっている。
「急に言われても……みたいな顔になってるけど、徐々に慣れてくれたらいいから。それから名前だけど、片瀬さんじゃなくて麻耶って呼んでもいいかな?そっちの方が会社とプライベートわけてる感じでいいと思うんだ。俺もプライベートでは社長と呼ばれるよりも宗一朗って呼ばれる方がいいし、呼びやすいように呼んでくれていいから」
「でも……呼び捨ては」
「じゃあ宗ちゃんとか宗一とかなんか適当に呼んでいいよ。自分で言うのもなんだけど、名前が長いし短縮されてよく"宗"って呼ばれてたしね」
次は私が考えた。
社長に"嫌です呼べません"なんて言えないし、何て呼ぼうかな。
そしてーーー
「決まりました」
「なんて呼ぶ?」
興味深々な社長に私は言った。
「一郎にします。宗ちゃんでもいいかなともおもいましたが、敢えて違う呼び方にしてみました」
「初めて一郎なんて呼ばれるよ。でも特別な感じがして好きかも。そうと決まれば麻耶も料理冷めないうちに食べろよ?それから敬語使わなくていいから」
「は……うん」
社長って意識しちゃうと緊張もするけど、社長が緊張しないようにとそう言ってくれたから、それを受け入れる事で緊張も少し無くなった。