恋の契約は永遠に
甘い言葉に揺れる心



社長のマンションでのあのキスの記憶が残ったまま、私は会社に出社した。


彼氏がずっと居なかったせいなのか、私にとってあのキスは社長にとってはお仕置きのつもりだとしても、忘れられない物となった。


それに二人きりの時は名前で呼ぶとか、敬語なしとか、急な事で無理だと思う。


確かにレッスンでは、お肌がいつもの自分の肌じゃないように感じたし、今朝も洗顔したけど普段使っている物とは違った。


でも社長の言葉や行動に、私の心が揺れていることは確かだ。


"好きになりそう"


だけど踏み込めないのは、トラウマもあるけど社長の冗談かもしれないし、社長を私はしらない。


それに好きになるのもまだ怖い。


その前に社長が私を好きになるなんて有り得ないよね。


自意識過剰過ぎるな私……。


「おはようございます」


と元気な声でいって会社のドアを開けた。


皆は私の顔を見るなり、挨拶よりも違う言葉が飛び交う。


「片瀬さん、社長にレッスンしてもらったんだ?素顔も素敵だし、今からどんな風に片瀬さんが変わるか私も参考にさせてもらうね。社長がまだインストラクターの時は、私も憧れはあったけど、今は立場は社長だし、研修会では私達にアドバイスをする側で、売上とか今は経営者としてだから、社長にお肌をケアしてもらえるなんて今はないから、片瀬さんも頑張ってね!色も白いし、もっと綺麗になるよ」


皆からそんな言葉をかけられて、私は何だか照れてしまい、二階に逃げた。


社長にお手入れをしてもらう事がそんなに特別な事だとか言われると、頑張って続けなければいけないし、社長の顔を潰すことは出来ないプレッシャーが……。


基本は自分で毎日の洗顔をちゃんとして、その先の工程は二週間後だけど、皆はアドバイザーだし手抜きは出来ないもんね。


私は二回目のレッスンまで、しっかりと毎朝の洗顔を頑張り、仕事も分からないところは店長に聞いたりして、だいぶ一人でも出来るようになってきた。



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