恋の契約は永遠に
社長が来たんだと思い、私は立ち上がり扉の方を向いた。
「待たせてごめんね?社長の古賀宗一郎(こがそういちろう)です、宜しくお願いします」
社長に笑顔で挨拶をされた私は、社長の顔を見るなり固まってしまった。
だって社長は今までみた男性の中でもずば抜けてイケメンだったので、何秒か固まってしまったが、我に帰った私は挨拶をした。
「き、今日から働かせて貰うことになりました、派遣会社から来ました片瀬麻耶と申します、よ、宜しくお願い致します」
私は頭を下げて挨拶をした。
「緊張してるみたいだけどリラックスしていいよ?仕事を覚えるまでは僕が責任を持って教えるから」
「はい、頑張ります!」
社長は優しそうな人だし、イケメン過ぎるから少しドキドキはしちゃったけど、社長も忙しい中で私に仕事を教えてくれるから頑張って覚えなければ。
まずは伝票の処理の仕方を教わり、それをノートに書き留めていた。
入力の仕方を教わり、私もしてみる事になった。
ノートを見ながら順番に日付や伝票番号を入力していく。
だけどわからなくなりノートを見た時、急に社長が私の背後から腕を伸ばし、マウスの上に置いている私の手の上に社長の手が乗っかった。
急な事にビックリした私は、体がビクッとなってしまった。
「ここをクリックして、お客様の名字を打てばいいんだよ」
「は、は、はいっ」
二年ちょい男性に触れられる事がなかった私は、免疫が薄れているからなのか、今の社長の行動は心臓に悪かった。
「なんでそんなに可愛いの?」
「えっ?」
「反応が可愛すぎてヤバイんだけど。抱きしめてもいい?」
至近距離で社長に見つめられながら言われた私は内心パニックになっていた。
「はははっ、本当に可愛すぎるね片瀬さんは。緊張しなくていいからゆっくりさっき教えたように入力していてくれる?ちょっと向こうで電話してくるから」
そう言って社長は隣の部屋に行った。
あぁー、胸が破裂するんじゃないかってくらいドキドキしちゃったよ。
あんなイケメンに至近距離であんな事を言われたらパニックにもなるよね。
もしかして社長はわざと私の緊張を柔らごうとしてくれたのかな?
だとしたら更に逆効果だし、ただからかっただけなのかな?
社長がどんな感じの人なのかなんてまだわからないし、取り敢えず今は仕事に集中しなきゃ。
私は遅いながらも伝票の入力をしていった。