恋の契約は永遠に
社長は椅子を倒して私の髪を洗っていく。
何だか気持ちよくなり目を開けられずにいた。
駄目、このままでは眠ってしまいそうになる。
そう心では思っているのに瞼は重くなってゆく。
どれくらい時間が経ったのか、誰かが私を呼ぶ声がして瞼を開けた。
「麻耶、まーや、終わったぞ!」
「えっ、はっ!私ったらいつの間にか寝ちゃってました!?」
「髪の毛洗い終わって椅子を起こしたら熟睡してるし、可愛い寝顔みながら切らせてもらった。前髪だけじゃなく全体的に切ったからな」
「は、はいっ」
「さあ眠り姫、鏡を見てごらん」
そう言って社長は椅子を鏡の方へ向ける。
私は鏡を見て驚いた。
髪はセミロングからボブになり、前髪もキレイにカットされていて、髪も全体的に軽くなっている。
それにボブなんて似合わないと思っていたけど、全然違和感ないし、社長って本当に美容師だったんだって改めて思った。
美容も美容師としても、こんなに人を満足させられる事が出来る社長を改めて有能な人だと思った。
「何だか私じゃないみたいです」
「せっかくお肌がキレイになったんだから、ボブにして、顔が目立つようにしたんだ。気に入ってくれた?」
「はい、とても」
「じゃあ俺が麻耶だけの専属美容師に決定な?美容師と今の仕事を最初は掛け持ちしてたけど、二年前に美容師の仕事はしなくなったから、髪の毛を切ったのは仕事を辞めてから麻耶が初めてだし、麻耶は特別だから切りたいと思った」
社長の"特別"の言葉に胸がドクンと音をたてる。