【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「……うん。じゃあ、そうする」
「ん」
ぽんぽんとわたしの頭を撫でて、教室に入っていく千瀬。
撫でられた感触が残っているせいで照れくさくなりながらわたしも教室に足を踏み入れると、すぐにやってきた担任の先生が配布物を配ってかるく話を終えると、あっさり解散。
「莉胡ちゃん今日は東行くのー?」
ひょこひょこやってきた千咲に聞かれて、うん、と答える。
千咲はどうやら織春や由真ちゃんたちと、いっしょに西へ行くようで。トモは、アルくんとラーメン屋さんに寄ってから西に行くらしい。
「じゃあ、また明日ね」
千咲、トモ、織春の3人に手を振って。
教室の外で待っててくれていた千瀬に駆け寄ると、「行こっか」と優しい表情を向けてくれる。
「明日から新入生入ってくるってなんか変な感じ」
「……そ?
月霞は年下多いから俺はべつに気にならないけど」
「でもちょっとさみしい。
西に来ちゃったから、東の子はみんなミヤケたちと同じ学校でしょ?」
「……まあ家はこっちの方が圧倒的に近いから俺は助かるけどね」
まあそうなんだけど。
西に住んでるからここまで徒歩10分でこれちゃうんだけど。……東のみんなと学校に通うのも、楽しそうだったというか。
「あいつらと同じ学校だと絶対騒がしいよ。
俺は何があってもミヤケと同じクラスは嫌だ」
「……なんだかんだミヤケのことだいすきじゃない」