【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
真顔でつっこむミヤケと、「べつに疲れてないわよ」と答える莉胡。
あきらかに疲れてるように見えるけど、本人がそう言うなら大丈夫だと思う。ばちっと莉胡と目が合ったけど、綺麗に微笑むから何も言わなかった。
……俺はちゃんと、信じてるから。
「……ねえ、千瀬」
「ん?」
幹部室でしばらく勉強会はするものの、一度飽きたらもうもどせない。
結局いつも最後まで勉強は続かなくて、持って帰ってきた分の課題をやっていれば。
「……だいすき」
一足先に課題を終えて、俺のベッドでごろごろしていた莉胡が、床に座る俺の首にうしろから腕を回す。
耳元で囁かれる愛の言葉に振り返って、「俺も」と軽いキス。満足したのかくすくす幸せそうに笑う莉胡。
「課題まだ掛かりそう?」
「もうすぐ終わるけど、どうかした?」
「……イチャイチャしたい」
ふっと、思わずゆるんでしまう頬。
いいよと笑ってもう一度キスしてから課題をこなし、「おいで」と言えば何の抵抗もなく腕の中におさまる彼女と目を合わせて、くちびるを重ねた。
「ん……」
「……、かわいい」
拗ねた顔をしてたくせに、結局は聞き分け良くくちびるに透明のグロスを乗せてるし。
化粧したらさらにモテるでしょ、なんていう俺の不満は、彼女には伝わってないらしい。