【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-



普通に気にするレベルだから。

大人ならハリウッドセレブじゃなくたって帰る値段だけど、高校生ならさすがに悩む値段だったから。……まあ莉胡が値段にこだわってないのはわかってるし、口うるさく言うつもりはないけど。



「まあ、そのお返しも兼ねてってことでそれね。

ただ今年は奮発したけど、来年からは期待しないでよ」



「大丈夫。値段なんか気にしないから。

……わたしは1年記念のプレゼントすごく悩んで決められなかったから、千瀬と一緒に買い物行って決めようと思ってたの」



「……じゃあ今度一緒に買い物行く?

俺そんなに物欲ない方だから、逆に困るかもしんないけど」



「知ってるわよ。

だから尚更、一緒に選びに行きたいの」



いらないものもらっても仕方ないでしょ?ときいてくる莉胡に「まあそうだね」と答える。

どうせなら使えるものがいいし、使わないよりは俺がちゃんと使えるものを渡したいっていう莉胡の気持ちはうれしい。



扉越しにしばらく会話して、「俺そろそろ上がるよ」と言えばそそくさと脱衣場から出ていく莉胡。

……そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。




「髪乾かすんだっけ?

ほら、時計眺めてないでおいでよ」



「はぁい」



ドライヤーで、さあっと莉胡の髪を乾かしていく。

ときおり漂う香りは自分と同じもの。風呂上がりだからと上半身裸の俺を直視できないらしく、莉胡がちらちらと視線を逸らしているのがかわいくて。



「海でも似たような格好してたじゃん。

なんで途端にそんなはずかしそうな顔すんの」



「だって恥ずかしいんだもの」



「……まあ男としては、

そういううぶな反応された方が嬉しいけど」



カチ、と。

乾かし終えてドライヤーを止めると、彼女がお礼を言うために振り返るのを狙って口づけた。



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