【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-



「っ、まって」



「……待ってほしいの?」



「っ……、いじわる」



それを聞いて無意識に浮かぶ笑み。

どれだけ意地悪だと文句を言っても、莉胡はなんだかんだ俺にいじわるされるのが好きだ。彼女の頬に添えた右手。空いている左手で莉胡の服の裾に手を入れたら、彼女の肩が跳ねる。



「だ、だめ……」



慌てたように口にするのも、やっぱりかわいい。

細いくびれをそっと手でなぞってその手を引き上げれば、風呂上がりのせいで何もつけてないらしいやわらかなふくらみに触れる。



……いくら俺の前だからって。

風呂上がりにそんな薄着じゃだめでしょ。着てる服だって薄いんだから、こんなの服越しでも充分そのやわらかさは堪能できると思う。




「だめ、って顔じゃないけど?」



「っ…、ここじゃ……だめ」



……ったくもう、かわいいな。

どこがいいの?と囁けば赤い顔で小さくベッド、と答えるからやっぱりかわいくて、衝動的にキスしたくなる。



「じゃあ寝室行こう。

ここのベッド広いしよかったね」



ぱっと手を離して、何をされるのかはちゃんとわかってる莉胡と寝室に向かう。

寝室に行くにしてはまだ早い時間だけれど、こんな時だからじっくり愛し合いたい。1年記念の日は翌日から学校だし、莉胡に無理させたくないし。前倒しってことで。



「キス……いっぱいしてくれる?」



「いつもたくさんしてるけど、それ以上?」



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