【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-



「東の姫ッスよね?」



「……え、と」



「あ、すみません。

俺ら西で累の傘下の方なんすけど、こないだ累の倉庫来られてましたよね?ちらっと見かけて」



それを聞いて、ほっと肩をなでおろす。

どうやら西側の子たちらしい。──千瀬が7代目を受け継いですぐに東西は手を組んでるから、こうやって東の敷地で西の子を見ることもある。



「7代目とは一緒じゃないんすか?」



「あ、うん……いまは倉庫にいるから」



手に持っていたスマホをスリープにしてポケットに片付け、案外気さくだった子たちとその場でわかれてコンビニに入る。

ミヤケは「西のヤツらだったみてーだな」と口にして、それに「そうね」と返し、目的であるミヤケのお昼ご飯を買った。




それからコンビニを出たところで。

さっきの子たちはいなくなっていたのだけれど。



「……なんか、嫌な予感が、する」



「は?」



「あのバイクってさっきの子たちのよね……?」



駐車場の端に停められている人数分のバイク。

だけどさっきのメンバーは全員いなくて、嫌な予感がする。すたすたと近づくわたしと、「おい!」と駆け足で追いかけてくるミヤケ。



「二輪置きっぱでどっか行ってるだけだろ。

ったくお前、一応姫なんだから危機感持てよ」



ミヤケが背後からあきれたように声をかけてくる。

けれどわたしの視線は、違和感へと投じられていて。



< 17 / 151 >

この作品をシェア

pagetop