【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「東の姫ッスよね?」
「……え、と」
「あ、すみません。
俺ら西で累の傘下の方なんすけど、こないだ累の倉庫来られてましたよね?ちらっと見かけて」
それを聞いて、ほっと肩をなでおろす。
どうやら西側の子たちらしい。──千瀬が7代目を受け継いですぐに東西は手を組んでるから、こうやって東の敷地で西の子を見ることもある。
「7代目とは一緒じゃないんすか?」
「あ、うん……いまは倉庫にいるから」
手に持っていたスマホをスリープにしてポケットに片付け、案外気さくだった子たちとその場でわかれてコンビニに入る。
ミヤケは「西のヤツらだったみてーだな」と口にして、それに「そうね」と返し、目的であるミヤケのお昼ご飯を買った。
それからコンビニを出たところで。
さっきの子たちはいなくなっていたのだけれど。
「……なんか、嫌な予感が、する」
「は?」
「あのバイクってさっきの子たちのよね……?」
駐車場の端に停められている人数分のバイク。
だけどさっきのメンバーは全員いなくて、嫌な予感がする。すたすたと近づくわたしと、「おい!」と駆け足で追いかけてくるミヤケ。
「二輪置きっぱでどっか行ってるだけだろ。
ったくお前、一応姫なんだから危機感持てよ」
ミヤケが背後からあきれたように声をかけてくる。
けれどわたしの視線は、違和感へと投じられていて。