【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「……大丈夫、なの?」
「あいつを誰だと思ってんの、莉胡。
仮にも、俺がそれなりに信頼を置いてる男だよ」
「……うん」
「ひとまず、莉胡はひとりで出歩くの禁止ね。
由真とふたりで行動するのもだめ。東西どっちかの幹部、最低ひとりと一緒に行動して」
まあ、基本俺といるからいいけど、と。
言った千瀬に、詳しい話を聞こうと口を開きかけたとき。幹部室の端にある、わたしがペンダントで西の会話を盗聴してた時に十色がそのデータを受け取っていた大きな機械。それの液晶が、ぱちっとついて。
『あー、これちゃんと聴こえてんだろうな?』
画面に映ったのはさっきのコンビニを遠目から見たような映像で、聴こえてきたのはミヤケの声。
どうなってるの、と聞きたいところだけど彼の言葉的にこっち側の声は聴こえていないらしく。
『さっき受信したデータんとこ行ったら、やっぱ全員やられてたわ。
6人中4人はまあ割と軽症だな。あとふたりは骨完全に折れてっから車で病院行かせてる』
やっぱり、彼らは巻き込まれて……
敵が近くにいたんじゃないかと思うと、いまさらになって怖くなってくる。そんなわたしを横目にソファを立った千瀬が機械に付いているボタンを押すと、赤のランプがついた。
「犯人の目星つきそうなものあった?
証拠とか、ちょっとした手掛かりとか」
『あー……あったあった』
どうやらそのボタンを押すと、向こうに声が聞こえる仕組みらしい。
がさごそという音とともに画面が揺れて、『莉胡』となぜか名前を呼ばれる。
『……あんま自分のこと責めんなよ』
そう言われたかと思えば。
画面に映ったのは、1枚の紙。──そこに印刷されているのは。