【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
『夏川莉胡を迎えにいく』という一文と。
それに添えられた、『HTD』の文字。悪魔の羽根のようなイラストまで書いてある。
「……わ、たし?」
『とりあえテキトーにまわり調べたけど、たぶんこれ置いて敷地帰ってんだろうな。
証拠はこれ以外なんもねーし、割と手慣れてるヤツらだぞ』
「了解。
……春、"HTD"の名前に聞き覚えは?」
千瀬がそう問いかけたら、赤ランプの隣に青のランプがつく。
それがついたかと思うと、『南だな』と織春の声が聴こえてくるし、色々と意味がわからない。
「南って……
あの、例の"都市伝説"のとこ?」
なんだかハイテク機能になってませんか……?
こんな機能前にはなかったよね……?いま大事なのはそれじゃないってわかってるけど、さすがにちょっと気になるんですが。
『ああ。
いままでは何も手出ししてこねえチームだったから放ってたが……そういうわけにもいかないみたいだな』
『莉胡』
「……なに? ミヤケ」
『お前、しばらく十色さんにデータ送ってたペンダント持ち歩いとけ。あれの中身、盗聴器とGPS入れ替えっから。
んで、十色さんが持ってたあれの片方も同じようにGPS入れるから由真に渡せ』
「GPSって……」
『ちゃんと普段は受信しねえようにしとく。
お前らになんかあったら困るから念のためだ』
念のため、なんて、そんなのはじめから否定させる気もない。
……わかった、とうなずくしかないわたし。それを聞いてからミヤケが『ひとまず倉庫もどるわ』と、言ったその瞬間。