【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「ペアリング……?
彼女さんとおそろいなの?」
「そうだよ。
莉胡の件で激怒されてから宥め続けて、ようやくちゃんと付き合い直そうって言ったらうなずいてくれたとこなんだから」
「いい気味ですよ」
「こら千瀬」
「いいじゃないですか。
文句言ったってどうせ莉胡が十色さんと付き合った2年半は変わんないんだし」
「お前実はまだ拗ねてるんでしょ」
ようやく顔の赤みが引いてきた莉胡。
じっと俺のことを見つめてくるから何かと思えば、「拗ねてるの?」なんて完全に他人事で。
「別に拗ねてないし」
「……拗ねてるでしょ?」
「拗ねてないから。
あんまりうるさいと口塞ぐけどいいの?」
「……好きなだけどうぞ」
「………」
「っ、恥ずかしいから何か反応してくれる!?」
……いや、かわいいなと思っただけだけど。
っていうかどうせ「好きなだけって言ったでしょ?」なんて俺が迫ったら困るんでしょ。真っ赤な顔でだめだって拒むくせに、たまにそうやって素直になるのはちょっとずるい。