【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
同じクラスの中には、織春、トモ、千咲もいる。
だけどあろうことか、千瀬と由真ちゃんは隣のクラス。
「……千瀬。
わたしの記憶が正しければ、幼小中と、高校の1年までクラスが離れたことなかったと思うの」
「そうだね。14年目ではじめて離れたね」
「っ……ショック過ぎる」
いままでは、千瀬が同じクラスにいるってだけで安心感があった。
何かあれば助け舟を出してくれる幼なじみ。付き合ってからはじめてのクラス替えで別々になるだなんて、ショック過ぎる。
「まあ、逆に13年一緒だった方が奇跡だけど」
たしかにそうなんだけど……
でもやっぱりショックだし、と千瀬の手を両手で包んで握っていたら、ふと由真ちゃんが隣で泣いていることに気づいた。
「っ、ふ……やだ、さみしい」
「隣のクラスだろ。
休み時間はいつでも会えんだから」
「でもさみしいもん……っ。
春くんのこと授業中盗み見たり席替えでどきどきすることもなくなるんだよ!?いまなにしてるんだろうって考えるだけで絶対頭に授業が入ってこない……!」
「普通に授業受けてるから安心してお前も授業受けてろ」
「うう……っ」
どうやら由真ちゃんも、織春とクラスが離れたのが相当ショックだったらしい。
あきれつつもなだめている織春。だけど由真ちゃんの気持ちもよくわかる。わたしだって千瀬と離れるのはさみしい。
「別にお前の心配するようなことは何もねえだろ。
いまさらほかの女選んだりしねえから安心しろ」