【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「……なんでそんなにキラキラした目で俺を見るの」
「……ちょっと気になることがあって」
「ロクでもなさそうだから聞かないでおくね」
「……千瀬のけち」
空っぽになった器の中にレンゲを置いて、「ごちそうさま」と手を合わせる。
体調不良のせいで、さっきまで寝てたはずなのにもう眠い。ふあ、と欠伸してからおもむろに彼の膝に頭を乗せて寝転がると、「なにしてんの」と真上から声が降ってくる。
「膝枕して欲しいなと思って」
目線だけで、無言の攻防を3秒。
先に折れたのは千瀬で、「べつにいいけど、」と言ったかと思えば。
「莉胡は腕枕の方が好みかと思ってた」
さらに甘い誘惑を仕掛けてくる千瀬。
もちろん膝枕よりも、腕枕してもらったまま抱きつく方が好きに決まってる。
「えっ、してくれるの?」
「……とりあえず着替えて大人しくベッドに入るっていうならね」
「っ、する……!
とりあえず着替えてくる!」
「……はしゃいだらまた熱上がるでしょ」
呆れたような千瀬のため息も、気にならない。
寝ている間に汗をかいているから、別の部屋着に着替えて自室にもどる。大人しくベッドに潜り込めば、千瀬が隣に入ってきて腕枕をしてくれた。