【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
05.宵闇メランコリー



【Side Chise】



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「ちーくん遅いよー」



「16時に東集合だって言ってあっただろーが」



──17時、月霞倉庫。

本当なら俺だってもっと早く来る予定だったけど、寝てる莉胡をひとりに出来ないし。おばさんが帰ってくるのを待った結果、この時間になっただけだ。



きっと、莉胡が起きたら文句の連絡が来る。

帰ったらまた機嫌とらなきゃなと思いつつ、空いたソファに腰掛けて、十色さんから預かった資料をテーブルに置いた。



莉胡と喧嘩して内心穏やかではない中で昨夜千秋に電話したら、「大した資料じゃなくて悪いね」と言われたけど。

……これが大した資料じゃないなら、あの男は一体どんな資料を大したものだと思ってるのかわからなくて困る。



メンバーの名前から事細かな情報まで。

俺らがどれだけがんばって集めたとしても、6月には間に合わない量だけの情報はあった。



でも、逆に言えば。

それだけ情報を掻き集められるほどに、千秋が築き上げた信頼は大きかったってことになる。……圧力をかけたって言ってたけど、実際はどうなんだか。




「まじですげえ量あんな……

名前と役柄、いま通ってる高校とか中学は全員記載してあんじゃねーの?」



「……一応そのファイルの全員に目は通したけど、俺の記憶の限り知り合いはいなかった」



「んで、トップの人間がこいつか」



ばんばん、とミヤケが開いたページを叩く。

4代目総長という肩書きを持つその男の名前は、『白葉 万智(しらは まち)』。莉胡にも確認したけど、見覚えはないと言っていた。



「残念だけど写真はないからどんな男かまではわからない。

……あと、ひとつ問題があって、」



「……問題?」



「熱出してるから詳しい状況までは聞けてないけど……

莉胡が昨日、HTDの副総長と接触してた」



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