【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
『16になったら形だけのお見合いをいくつかすることは、前からお父さんと話してたの……
それで、砂渡とももう、話はついてて、』
「……莉胡」
『……ごめん、なさい』
「……でも砂渡って同い年でしょ?
お見合いしたってどうせ2年後にしか結婚出来ない」
『そう思ってミケに"結婚する気ないでしょ?"って聞いてみたの。
そしたら向こうも関係を円満に続けるためのうわべのお見合いだって言うから、』
それは大丈夫、と言う莉胡。
……いやでも、ちょっと待って?
「……"聞いてみた"ってなに?」
なんですぐにでも会話できるような口調なの?と問いかける俺と、電話の向こうで「え?」と首をかしげていそうなほど呑気な声の莉胡。
え?じゃなくてさ、なんでそんな親しげなの?
『だってわたし……
ミケの連絡先知ってる、というか、昨日交換した、』
「お前一体あいつとなに話したの……」
思わず頭を抱えそうになる。
だっておかしいでしょ。昨日出会ったばっかりなのに、なんで連絡先を交換する展開になるの?どっちから交換したのか知らないけど親しくなる気満々じゃん。
っていうか普通にむかつく……
平気で男と連絡先交換する莉胡にむかつく。
「念のため聞くけど、
まさか昨日ナンパされたとかじゃないよね?」
いま大事なのはそこじゃないのに。
気になって思わず問いかける俺。……いやもうほんと落ち着けよ俺。嫉妬してる場合じゃないだろ。