【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「1回ちょっと話もどすよ。
このままじゃ東西集まってんのに話進まないから」
そう言って話を仕切り直したのは羽泉で。
視界の端で、ようやく本題にもどれることにハルトと於実がほっとしたのを俺は見逃さなかった。……俺と莉胡の話聞いててもつまんないだろうから別にいいけど。
「莉胡ちゃんがHTDに狙われてる。
それを頭に置いてひとまずわかってるのは、敵が6月に彼女を迎えに来るだろうってことと、HTDのメンバーの一通りの情報は手元にある。あと、副総長の男が彼女と接触した」
「副総長の砂渡の家は有名なホテルの親会社で、SECともそれなりに親交があるところ。
互いに結婚する気はないけど見合い相手で、昨日莉胡がナンパされたときに砂渡と連絡先を交換してる」
ナンパじゃないらしいけど。
でも綺麗だって言われたとか言ってたし。俺から見ればナンパだろうとナンパじゃなかろうと同じだっての。
「連絡先は莉胡に転送してもらった。
……だから連絡しようと思えば直接話すことは出来る」
ただ。
それがいいことなのか悪いことなのか、さすがにちょっと判断しかねる。──6月と指定してきている敵を、わざと煽って期限が短くなったら困るし。
「……的確なのは直接話すことだよね。
ただ、どっちに転がるのかはわからないから、ここは千瀬が決めてくれていいよ」
「、」
「彼女のために電話するか。
……彼女のために、あえて電話しないか」
確率は、2分の1。
やるかやらないかは俺次第で、俺の答えひとつでHTDの対応も変わってくる。──それでも。
「……ミヤケ。
まさかHTDがこの電話を予測してるなんてことはありえないだろうけどお前のスマホで莉胡と電話繋いどいて。……莉胡に万が一何かあってもわかるように」
「……わかった」
「莉胡が電話に出て、
事情を説明し終えたら俺から砂渡に連絡する」