【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-



「うそだよ。

……莉胡なら大丈夫だって信じてるから」



「……千瀬」



「莉胡がそのネックレスつけてるあいだは、

絶対俺を裏切らないって信じてる」



「……うん」



東の月霞、西の累。──あの勝負の決着がついたあと、すぐに千瀬は約束通りアクセサリーを作ってくれた。

月のネックレストップと、おそろいのシンプルなペアリングがチェーンに通ってわたしの胸にある。



もちろん千瀬も同じものをつけてくれているし、

おどろくほどの出来栄えで作ってくれたそれは、わたしと千瀬だけが持っている手づくりアクセサリー。



誕生日プレゼントでそれをくれた時は、あまりにもうれしくて思わず泣いてしまった。

彫金師目指すの?と尋ねたら、「旦那にするなら旅行会社の跡継ぎとかの方がよくない?」と返されて、意味を理解したわたしが赤面したのは言うまでもない。




「じゃあ、ホームルームはじまるだろうし」



「あっ、うん……またあとでね」



ひらひら手を振って、わたしは1組へ。

足を踏み入れていちばん手前の席。亜川、だから名簿がいちばんになるらしいトモが、「よー」と声をかけてきた。



「おはよう、トモ。

無事に進級できてよかったわね」



「ふ。俺をなめんなよ?」



東西の決着がついてからトモは鴉としての活動をどうやらやめたようで、学校にもちゃんと来ている。

去年の単位は夏休み後からちゃんと出席したことで集められたようで、無事に彼も進級できた。



「さとちゃん莉胡ちゃんおはよー!」



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