【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
でも、とまだ俺の答えに納得できないという表情をしているミヤケ。
それを制したのは意外にも春で、「ならそれでいい」と、あっさり一言だった。
「お前がそう言うなら、俺はこれ以上それについて触れない。
……ただ、宣言した責任はもって絶対に莉胡のことは守れよ」
「……ふ。誰に言ってんの?」
俺が、莉胡を誰かに渡すとでも?
なんて言わなくたって、答えはみんなわかってる。俺が莉胡をどれだけ好きに思ってるのか、きっと莉胡以上にみんな知ってる。
「ったく〜。
こうなったらお前は意地でも動かねえんだろうから、もういいけどよ〜。……後悔はすんなよ」
「するわけない。
……莉胡のことは俺がちゃんと守るよ」
なにがあっても、誰が相手でも。
莉胡の笑顔に一瞬で惹かれて落ちたあの時から、俺の気持ちは莉胡のしあわせで出来てるんだから。
「んじゃ、明日からまた日常はじめっかなー」
「お前の場合騒がしすぎて日常なのに非日常だよ」
「でも嫌いじゃねーだろ?千瀬」
「……調子乗ってんなっての」
月霞も累も、ずっと信じてついてきてくれたお前のことも。──嫌いだなんて、一度たりとも思ったことはない。
本当に嫌いだったら、副総長に指名なんてしない。……ってこともわかってて、俺が言わないのもわかってて、ミヤケはあえて絡んでくるんだろうけどさ。
「んじゃ、そろそろ解散するかー?
さっさとお姫様んとこ行ってやれよ。……俺も最近会えてねーし、行ってくっかな」
それを聞いて、思わずはっとする。
俺らのことばかり気にかけてくれてるけど、そうだ。ミヤケにだって、彼女がいて。──彼女へ向くその気持ちは、俺への莉胡の気持ちと、同じはずなのに。