【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
言えば、「ふーん」とそっけない反応。
聞いてきたくせになんなんだ。……とは、思っていても口には出さないけど。
「ああ、そうだ。
今日ね、うちの家に知り合いを呼んであるんだよ」
「………」
知り合い……?
ミケに言われたら、嫌な予感しか浮かんでこないんだけど……?
「そんな顔しないでよ。
言っとくけど、HTDの人間じゃないから」
「……なら、誰なのよ」
「於実だよ。よく知ってるでしょ?
──月霞7代目の、幹部なんだから」
まるで挑発するようなその言葉に、目を見張る。
どうして、於実がミケと知り合いなの。於実はずっと月霞に忠誠を誓ってきた人。──だからわたしの幼なじみは、幹部として名前を上げたのに。
「な、んで、」
「ふふっ……その、恐怖と葛藤する顔、俺は結構好きだよ。
まあ、万智は七星のそんな顔が見たいんだろうけど」
「っ、なんで於実があなたと知り合いなの、」
「……気づかなかったの?
俺とはじめて出会ったとき、どんな格好だった?」
ミケと、はじめて出会ったとき?
このあいだコンビニの前で駅までの道のりを聞かれたそのとき……ミケは、制服を、着てた。
「……っ、」