【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
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「お前ほんっとどういうつもりなの」
──午後6時、月霞倉庫幹部室。
東西幹部に加えて由真ちゃんまでもがそろっている中でわたしが正座させられているのは、言わずもがなわたしがミケと会ったことがばれたからで。
用が済めば一足先に帰った於実はもちろん幹部側。
まさか彼がわたしと一緒にいたことなんて知らない千瀬は、正座するわたしを前に深いため息を吐く。
「俺お見合いするのは知ってたけど、
今日行くことまでは知らなかったんだけど」
「言ってない、から」
なのに、ミケが帰りの車でわたしを送った先は倉庫前。
おかげでこうやってすぐさま怒られるハメになった。ばれたくなかったっていうのに、あの男は鬼だ。
……でもまあ、
取引には応じてくれたわけで。
「言ってないじゃなくて、言えって意味だよ馬鹿。
なんで常識あるはずなのに時々ネジぶっ飛んでんの?」
「……だって大丈夫だと思ったから」
「わざと倉庫前に送ってくるなんて完全に俺に喧嘩売ってんだろーが!」
……こわいよちーくん。
口調も完全に変わってるし、と素直に「ごめんね」と謝ればわたしの前でしゃがみ込む千瀬。伸ばされた彼の右手が頬を撫でてくっと顎を持ち上げるから、まさかキスされるのかと思ってフリーズしていたら。
「……ネックレスは?」
「え、」
「いつも付けてんじゃん。どこやったの?」