【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
完全に逆ギレなのは、わかってるけど。
そんなのさみしいんだもん。わたしは千瀬といっぱいイチャイチャしたいし、愛情が欲しい。
「その代わり、さみしくなっちゃったからってわたしがほかの人に抱きついたからって怒るのもナシ。
いいもん。十色もちあちゃんも千瀬と喧嘩したって言ったら慰めてくれるもん」
「っ、お前、」
「なんなら東西の幹部には彼女いない方が多いし?」
「ああもう、わかったから……!
満足するまで好きなだけ抱きつけばいいよ……!」
なぜか怒られたけど、千瀬のお許しは出た。
やった、とようやく許されたそれに頬をゆるめて正座から膝立ち状態になってぎゅっと抱きついたら、耳元でため息をつかれた。
「ああもう……」とぶつぶつつぶやいてる千瀬の背中に回した腕にぎゅっと力を込める。
そのまま胸に顔をうずめたら、千瀬の鼓動がはっきり聴こえた。……やっぱり千瀬の匂いとぬくもりは、いつも安心する。
「もうほんとやだ……
なんでこんなに天真爛漫なのお前は……」
「……?」
「わかってるくせに不思議そうな顔すんな」
上げた顔を見て嫌そうな顔をした彼は、わたしに躊躇なく冷たい言葉を向ける。
相変わらず彼女に対して冷たい。極寒すぎるよちーくん。
「でも、それ以外ならお仕置きはなんでもいいって言ったよね?」
「え」
「なら……どうしようかな」