【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
「でもまあ、莉胡だし大丈夫でしょ。
前回も、相当点数よかったらしいね」
「まじで~?でも千瀬の方が上だろ?」
「よく言われるけど莉胡の方が頭良いからね。
1年の最後にやった学年末考査、順位の貼り出し見に行ってないけどどうせ莉胡学年トップだったでしょ」
「は!?」
「……誰も順位見に行ってないのか」
どうりでこんな反応なわけだ、と思いながら「たぶんトップだよ」と告げる。
何科目だったかまでは覚えてないけど、いくつか「ねえねえ千瀬、見てこれ100点だった」と見せられた記憶あるし。
……っていうか莉胡は何回か学年トップ取ってるはずだけど、全員順位に興味なさすぎでしょ。
まあ貼り出しを見に行ってない俺が言えることじゃないんだけど。
「なんだかんだ莉胡は親に昔から勉強させられてたから。
……ほんとは、中学とかもっと学力高いとこ行くはずだったんだけど」
「……行かなかったんだ?」
「俺のいない学校に行くのが嫌だったんだってさ。
……ほんとに俺ら、去年まで付き合ってなかったのが謎で仕方ないんだけど」
過去の話をすればするほど、どう考えても両想いでしょ、というような会話ばかりしてるし。
昔の自分が鈍すぎて生まれ変わりたい。……もう今は付き合ってるからいいけど。
「莉胡ちゃんいまだに、
クラス離れたの嫌だって言ってるもんねー」
「……修学旅行で、
一緒の班になれないのが相当ショックらしいよ」
旅行ぐらい、ふたりで行けるのに。
そういうちょっとしたことにまで、千瀬千瀬って言ってくれる莉胡がかわいいから、甘やかしたくなる。……きっと、遠距離恋愛とか出来ないんだろうな。