【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
俺も莉胡も、お互いがそばにいないとだめになる。
おじさんみたいに、結婚して長めの出張に行くことになったりしたら、莉胡は「ついていく」とか言いそうだし。
……まあ、ついてきてくれても構わないけど。
「あっ、ほんとだ……!
ってことは、わたしと春くんも、」
「同じ班にはなれねえな」
「ええええ、やだよ……!
当日莉胡ちゃんと入れ替わるとかだめかな!?」
「……なんか、莉胡も由真もそういうのこだわるよね」
思い出を共有したいっていう気持ちはわかるけど。
正直そんなに四六時中一緒じゃなくてもいいと思う。特に俺と莉胡なんか、毎日誰よりも長い時間を共に過ごしてるわけだし。
「莉胡ちゃんとふたりで遊んだらー、
ノロケ大放出でしゃべってくれるんだけど、」
「………」
「……莉胡ちゃん本人は、
なんか、たまにちょっと冷めてるよね」
「……冷めてる?」
「もちろん嫌味とかじゃないよ?
でもほら、莉胡ちゃんの中に『千瀬くんに愛されてる自分』と、『それを見てる自分自身』がいる、みたいなとき、ない……?」
うまく説明できないなぁ、と困った顔をする由真。
だけど、なんとなく、わかるような気もした。
「……俺を好きでいて、なおかつ俺に愛されてる自分に満足してることはあるよね。
考え方がころっと変わったり、砂渡に誘拐された時、俺を好きで甘えてくるのに頼ってこなかったり」