ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「伊集院さん、秘書室に行きますよ」

「はい」

秘書課室長の栗原優貴(クリハラユウキ)さんが小陽を連れて、社長室を出た。
栗原さんは親父と同い年。
父親は、27年前に不慮の飛行機事故で亡くなった濱部透真(ハマベトウマ)会長(俺の爺ちゃん)の秘書を務めていた。
親子2代で同じ会社の秘書をしている。

栗原さんもポーカーフェイスを気取っているが、口許は緩みっぱなし。


親父も小陽に終始見惚れていた。

「小陽さんは立っているだけで、花があるなぁー」

「いい年して、何言ってんだよ!?
母さんに言うぞ」


「そんなコト、口が裂けても純名に言うんじゃない。拓真」


親父は何度も咳払いして、俺を睨んだ。



「拓真、くれぐれも間違いだけは起こすなよ。
セクハラめいた発言、パワハラめいた扱いはするな!仕事は小陽さんのペースで仕事を与え、定時には帰すんだ」


「秘書である小陽に副社長の俺が気を遣えと言いたいのか?」


「小陽じゃない小陽さんだ・・・」

親父は俺の質問は無視して、呼び名を窘める。
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