ダイヤモンドウエディング～キスからはじまる永遠の愛～《完》

私達はスイートルームを出てチェックアウトを済ませ、タクシーで新居に向かった。


「俺達の新居ってどんな家だった？」


「拓真さんの方がご存知でしょ？」


互いに後部座席に腰を下ろしながらもそっぽを向き合い違う車窓を見ていた。

「俺は一度も行ったコトねぇよ」

「私も行ったコトありません・・・」

「えっ？じゃ～今日が初めて？？」


私達は顔を合わせた。



｢親父が知り合いに頼んで借りた一戸建てだと訊いた」


「私もそう訊きました」


「白金だし、さぞかし立派な家だろうなぁー」

「私一人で掃除できるのでしょうか？」

「お前に掃除させるつもりはないと思う。
使用人を何人か雇うつもりだ。お前は伊集院家の大切な令嬢だ」


「私はもう伊集院家の人間ではありません」


「濱部家の人間にもなれてない・・・」


「それは・・・」


「今のお前は唯の小陽だ」