ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「副社長の不在時に、海外事業部の本田部長から預かった書類です」

小陽が俺に本田部長からの書類を渡す。


「サンキュー」

俺は受け取り、ペラペラと捲りながら椅子に腰を下ろした。


「コーヒー淹れましょうか?」


「頼む」


社を挙げたプロジェクトの責任者となった俺に暇はなかった。


「どうぞ。副社長」


本田部長に内線電話を掛けていると小陽がコーヒーカップをデスクに置いた。

左手の薬指に輝くマリッジリング。



そう言えば、俺は昨晩、シャワー浴びる際に、外して洗面台に置いたままだった。


受話器を置き、デスクに戻る小陽を呼ぶ。


「俺、マリッジリング、洗面台に置きっぱなしだ」


「拓真さんのマリッジリング。ジュエリーケースに入れておきましたよ」


「あ、そうか・・・小陽、ありがとう」


小陽が誰のモノかと考える以前に俺の方がダメダメだな。


「明日はちゃんと嵌めるから・・・」








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