ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
特別扱いはして欲しくなかった。

他の秘書と同等に扱って欲しかった。


椎名衆議院議員も同じだった。
仕事でカラダを壊した私に気を遣ったのではなく、お父様に気を遣っていたのだ。

彼が私を無体に取り扱っているなら、2年も議員秘書は務まらなかったかもしれない。


政治に携わる仕事がしたくて、政治の世界に足を踏み入れたけど。

私にはお父様の後光が常につき纏い、お父様の伝手が欲しくて、周囲は挙って私に縁談を持ち掛けて来た。



「それは無理だよ」

拓真さんも同じだった。


「やっぱり、私の父が元総理だからですか?」


「そうだ。伊集院家は格が違う」


「総理は私の父であって、私は普通の人間です」

「そう言われても・・・」

拓真さんは言葉尻を濁し、また冷水を飲んだ。


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