ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
拓真さんは朝から会議で不在。

私は副社長室の留守を預かっていた。


「失礼します」

私に用事があると言って栗原さんが入室して来た。

「私も栗原さんにお礼を言おうと思っていた所です」

「私にお礼?小陽さんに礼を言われるようなコトしたかな?」
栗原さんはテレ臭そうに首を傾げて考え込む。

「昨日、ご子息の柾貴君にホームパーティのお手伝いをして頂いたと言うか・・・栗原さんには直接関係ないんですけど・・・」


「柾貴が?」

「副社長のご学友を招いてのパーティです」

「ふうん。副社長のご学友ですか…それは大変でしたね。小陽さんも気を遣ったでしょう」

「いえ・・・」

「そうだ。その柾貴から渡してくれと言われました」

栗原さんはクリアケースを私に渡した。

「これは・・・」

「自由が丘にある店のようですね・・・」

クリアケースの中身は私が知りたかったスパイスの専門店の地図だった。

「今朝、ウチに来て小陽さんにこれを渡しておいてくれと頼まれて・・・」

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