ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「お、お帰り…小陽。早かったな・・・」

「私の話、真面目に考えておいてね。副社長」

紗羅さんは慌てている拓真さんに釘を刺して踵を返した。


「あの、どのような話ですか?紗羅さん」


「小陽さんには関係無いコトよ」

紗羅さんは私を蚊帳の外に追い出した。


「拓真さんに関係ある話なら、妻である私にも関係のある話だと思います」


「・・・じゃ拓真さんに訊けばいいわ」


紗羅さんは真面目に答える気が全くなく、拓真さんに丸投げして出て行った。


「神楽坂は速達を渡しに来ただけだ。気にするな。小陽」


「私が何も知らないと思ってるでしょ?拓真さん」


「・・・誰かに訊いたのか?」


「はい。でも、私は拓真さんを信じてます」

「正直に話す・・・お前に隠してたけど・・・俺と紗羅は何度か寝た仲だ・・・」


「・・・」

淡路さんの言う通りだった。


「私は信じてたのに・・・」

瞳から涙が止め処なく溢れる。


「俺と紗羅のコトは昔の話だ。今はお前一人だから…小陽。泣くなよ」


拓真さんは椅子から立ち上がって必死に慰める。

結婚する前にもこんなコトがあった。
私のファーストキスを奪った時の記憶が蘇る。

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