ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
《3》父親は元総理

拓真sideー

「婆ちゃんの言ったコト気にするなよ」


「はい」

ウチの婆ちゃんは何も考えず、感情で突っ走るタイプ。


俺は小陽をマンションの前まで送り届ける。


車を来客用の駐車場に停車させ、一緒にエントランスまでの小径を歩いた。人工島・東京ベイランドの一角にある高級マンションの最上階に家族3人で暮らしていた。
兄貴の紡は防衛大に進学し、そのまま防衛隊に入隊し、空軍のエースパイロットとして国防に勤しんでいた。


エントランスまでは季節の花々と木々で彩られ、間接照明でライトアップされている。

足許を照らすのは埋め込み式のソーラーライト。
明るい光の中を肩を並べて一緒に歩く。コツコツと響く小陽の靴音。

・・・俺は小陽の魅力に心を奪われていた。

「どこまで送るつもりですか?」

「部屋まで送るよ」

「部屋まで?マンションのセキュリティは万全ですし、大丈夫ですよ」


「お前に何かあったら、俺が困ると言うか」

「副社長にそこまでされると秘書の立場がありません・・・」


「遠慮するな」
俺は笑顔で小陽を諭す。






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