ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
『泡沫』を飛び出し、タクシーに飛び乗って向かった先は松濤の高級マンション。


不慣れな手先で俺のカラダに触れようとする百合。

「矢上が君にそうしろと教えたのか?」
ソファに腰を下ろす俺の足許にしゃがみ込む彼女に問いかけた。

百合はコクリと頷く。

「・・・核心に触れる前にするコトがある」

百合は顔を上げて俺を見つめる。

「キスしよう・・・俺の隣に座れ」

彼女が立ち上がってゆるりと隣に腰を下ろす。


「矢上が初めての相手か?」

「・・・はい」

「そうか・・・」

「最初の印象は随分と気難しい雰囲気の方だと思いましたが、優しいんですね」

弟の透真と比べると俺はクールフェイスだから。

第一印象はとっつきにくい相手だと思われがちで、外見は損をしていた。

ソファでキスを交わし、奥のベットルームで肌を重ねた。
これは夢だから浮気にはならねぇよな。

俺は百合の乱れた髪を指に絡める。

彼女は腕の中で安堵に満ちた表情を浮かべた。

「壱真さんは彼女居ないんですか?」

「君が居るだろ?」

「私?」

俺は百合の額に軽くキスをして窘めた。俺は人生のリロードを始める。

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