ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
俺はずっと父の望むままにここまでやって来た。
俺とは逆に異母弟の透真は父に逆らい、叔母夫婦が経営する民間企業に就職。
叔母夫婦の養子となって樋口家を捨て、社長に就任した。
何処までも、父に家に縛られず自由に生きる透真。
彼の生き方を最近・・・羨ましく思い始めていた。
矢上議員から美桜を奪ったのも、父に対する反抗心が発端かもしれない。
夢で見る彼女はいつも泣き顔。
今、目の前に座る彼女は笑っていた。
俺も彼女の笑顔を見ると安心する。
「壱真さんっておいくつなんですか?」
「俺は33歳だ。君とは一回り違うな・・・でも、60歳超えた矢上議員よりはマシだろ?」
「マシって…全然違いますよ。壱真さんは凄く素敵な人です」
「美桜、君はどうして『泡沫』で働いているんだ?」
「私の実家は北海道の田舎で家族で牧場を経営していました。でも、父が癌で亡くなり、経営が悪化。牧場は潰れ借金だけが残りました」
「借金返済の為に大学を中退して、『泡沫』に・・・」
「はい、稼ぎの殆どは北海道の母と兄に送金しています。だから、私は壱真さんのようなエリートな男性とお付き合いできるような女性ではないと思います」
「矢上議員の愛人になるのか?」
「いえ」
「君に水商売は向いていないと思う」
俺とは逆に異母弟の透真は父に逆らい、叔母夫婦が経営する民間企業に就職。
叔母夫婦の養子となって樋口家を捨て、社長に就任した。
何処までも、父に家に縛られず自由に生きる透真。
彼の生き方を最近・・・羨ましく思い始めていた。
矢上議員から美桜を奪ったのも、父に対する反抗心が発端かもしれない。
夢で見る彼女はいつも泣き顔。
今、目の前に座る彼女は笑っていた。
俺も彼女の笑顔を見ると安心する。
「壱真さんっておいくつなんですか?」
「俺は33歳だ。君とは一回り違うな・・・でも、60歳超えた矢上議員よりはマシだろ?」
「マシって…全然違いますよ。壱真さんは凄く素敵な人です」
「美桜、君はどうして『泡沫』で働いているんだ?」
「私の実家は北海道の田舎で家族で牧場を経営していました。でも、父が癌で亡くなり、経営が悪化。牧場は潰れ借金だけが残りました」
「借金返済の為に大学を中退して、『泡沫』に・・・」
「はい、稼ぎの殆どは北海道の母と兄に送金しています。だから、私は壱真さんのようなエリートな男性とお付き合いできるような女性ではないと思います」
「矢上議員の愛人になるのか?」
「いえ」
「君に水商売は向いていないと思う」