ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「失礼します」

会社帰りの出で立ちで栗原が見舞いに立ち寄った。

「相馬社長の命で、参りました」

「透真いや濱部社長から訊いた。お前が倒れた美桜の処置をしてくれたと」

「処置と言っても…大したコトはしてませんよ」

「壱真さん、あの方が一緒に救急車に乗り込んでくれたんですよ。壱真さんのお知り合いですか?」

「まあな。最近、『泡沫』の会員になられた大手薬品メーカー『ソーマ』の相馬社長の秘書の栗原だ」

「栗原さんですか・・・」

「秘書と言っても正式な秘書ではありません。派遣秘書ですよ。樋口さん」

「そんなのはどっちでもいい。それよりも、俺と栗原は少し二人だけ話するから…出ていく。具合が悪くなれば、ナースコールしろ。美桜」


「分かりました」

俺は栗原を病室から連れ出した。


誰も居ない無人の談話室のソファに腰を下ろす。


「俺の頼んだ案件はどうなった?」

「全部調べて報告書に作成しました」


栗原はブリーフケースから封に入った報告書を取り出した。


「どうぞ」

「サンキュー」



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