ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「そうだ。報酬は幾らぐらいだ?」

「お金は要りません。調査しましたが、矢上議員のネタはありませんでした」

「今更、百合さんに手を出すコトはないでしょう」

「そうだな・・・わざわざ報告書作成する必要もなかったんじゃないのか?」

「貴方と濱部社長って異母兄弟なんですよね」

「・・・そうだよ。俺と透真は官僚の世界では有名な樋口外務事務官の息子だ。まぁ、母親は違うけどな」

「樋口さんは百合さんとどうなりたいんですか?このまま樋口外務事務官が黙って貴方の行動を見過ごすはずないでしょ?」


「俺のコトを心配してくれているのか?栗原」


「別に」

栗原は腰を上げて銀縁眼鏡のフレームを弄った。


「貴方の一生を棒に振る程、百合さんはいいオンナですか?」

今までは彼女の泣き顔しか夢に出て来なかったのに。
今は自分が彼女が誰なのかを思い出し、その記憶を手繰るように時間が流れていく。
夢だとは思えない程現実感に溢れていた。


「俺は一生を棒を振る気はない。俺は彼女を幸せにする」


絶対に美桜は小陽で、俺は小陽と幸せになる為に夢を見続けている。

「クールな雰囲気漂わせて実は情熱家なんですね…樋口さんって」

透真に続き栗原にまで笑われたーーー・・・







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