ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
栗原のおかげであっさりと彼女の居所が分かり、ホッとする。

美桜と再会できた場所は歌舞伎町にある栗原の知り合いの診療所だった。


美桜、そこでベットに横たわり点滴を受けていた。
意識があり、俺と会話が出来た。

「壱真…さん」

「美桜…何勝手に病院抜け出してんだ?心配したぞ」

「でも、私が居れば…壱真さんに迷惑掛けます。壱真さんはお見合いするんでしょ?」

「見合い?父さんがそう言ったのか?」

「はい」

「見合いなんてしない。俺は美桜と結婚する」

「でも・・・そんなコトすれば・・・」

「いいから、お前は何も心配するな。美桜は自分のカラダのコトだけを心配するんだ。栗原、彼女を見ててくれ」

俺は父の携帯電話に電話しようと廊下に出た。

父にとって俺も透真も死んだ母も知加子ママも皆、自分の駒に過ぎない。自分の思いのままに動かないと気が済まない。

動かなければ、透真のように捨てられてしまう。

このまま父の敷いた道を歩み続けて行けば、俺は父の後を継ぎ、官僚の世界ではトップに立てるかもしれない。

官僚の世界は政治の世界と同じで特別な力が働く世間とは違う別世界。





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