ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
俺は無職でありながらも美桜のカッコイイ所を見せたくて、私財を投げ売って彼女の父親の借金を全額返済した。
そして入籍だけを済ませ、結婚した。

何とかこのマンションだけは死守したが、父に根回しされて思うように就活が捗らかった。




大勢の群衆が集まる駅前広場。
今は都議選の真っ只中。

明国党の都議員候補の応援に伊集院鑑三国土交通大臣が駆けつけていた。

お義父さんの父親か・・・
お義父さんも産まれているよな。

幼稚園に入った位の年だろう。
俺は応援演説に耳を貸さず、そのまま踵を返した。


近くの公園のベンチで昼飯用に購入した昆布おにぎりを食べていた。


「んっ?」


4歳位の男の子が歩み寄って来て、俺に訊ねた。


「かがくかんいきたい。どこにあるかおしえて、おじさん」

「科学館?あ・・・東京科学館のコトかな?」

男の子の恰好はシンプルで飽きの来ない紺の幼稚園の制服姿。白いシャツに赤い蝶ネクタイ、足元は白いソックスに黒の皮靴とセレブな雰囲気が漂う。

ワザと名札は外し、胸ポケットに入れていた。

俺は胸ポケットから名札を取り出し、名前を見た。


「えっ!!?いじゅういんあつしって・・・」

目の前にいる男の子はお義父さん???







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