ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
5歳まで一人っ子で育った敦司君は泣き虫で、昔の小陽を見ているようだった。

「これ」

敦司君は佑介君に壊された車の玩具を見せた。

「佑介が車を床に投げてドアが取れたんだ。この間は、僕の描いた絵を破ったし。佑介なんて嫌い!!」

敦司君は佑介君一人で手こずっていた。君には後2人弟が産まれるとは言えなかった。

「敦司君は物を大切にするタイプだから・・・」

俺と美桜の間には子供が居なかった。子供が出来ないのは自分のせいだと美桜は責めていた。

でも、俺は二人でもいいと思っていた。

何かと俺を頼ってくれる敦司君が自分の息子のように見えたのだ。

「接着剤で着けて直してみるか・・・」

「うん」

「車、借りていくぞ」

「うん。樋口さんありがとう」

「俺と敦司君の仲だ」

俺も総理秘書官として多忙だったが、総理ほどではなく、佑介君のお世話に追われる奥様に代わって敦司君の遊び相手となった。




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