ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
《4》社内キス

小陽sideー

拓真さんの秘書を始めて早1週間が流れたけど、未だに前秘書の淡路さんからの引継ぎは受けられなかった。


私は秘書室に居る淡路さんの元を訊ねる。


「秘書の仕事?」

「室長の栗原さんからも訊いていると思います。
淡路さんの空いた時間で結構ですので、よろしくお願いします」

「空いた時間なんてないわよ」

淡路さんはパソコンのキーを叩きながら冷たく言い放つ。


「伊集院さんって、元は議員秘書なんでしょ?」

「そうですけど」


「秘書の仕事なんて同じでしょ?」


淡路さんは副社長の秘書業務の引継ぎを拒んでいた。

彼女の口調の端々に意地悪な雰囲気が漂う。

「分かりました。失礼します」

「いいわ。後で引継ぎのメモをあげる」

「ありがとうございます」

彼女の態度が一転し、私は慌てて礼を言い、副社長室に戻った。


< 33 / 371 >

この作品をシェア

pagetop