ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「お前のせいで失せた」

拓真さんはレオンを私に引き渡した。


その後の拓真さんは真面目に部屋の整理を始めた。

殆どが要らない物で要る物はほんの僅か。

「ほとんどがゴミだったの?」

「本は一度読めばいいし、服は流行と飽きがあるし…まぁ、捨てるも面倒だし、柾貴に全部やるコトにする」

「拓真さんのゴミだと思う物なんて柾貴君だって要らないと思いますよ」

「それより、小陽お前もゲーテ読んでたと思うけど…俺も読んでいたんだよ」

拓真さんは一冊の本を私に渡した。


「ゲーテの詩集だ」


拓真さんがゲーテを読んでいたなんて信じられなかった。


「興味本位だ・・・愛よ、お前こそはまことの生命の冠、休みなく幸」

拓真さんは冗談半分で詩集の一節を思い出すように言い放った。

「・・・」
私も知る詩集の一節。そしてなおも続けた。

「生涯の終着点を生涯の出発点と結び付けるコトができれば、最も幸せな人といわなければならない」

拓真さんの表情が真面目になった。



「俺達の始まりは小陽の思い描いた始まりとは程遠かったかもしれないけど。終わりが良ければいいよな。
まだまだ、終るつもりはないが、小陽と幸せになりたいと思う」





「私も拓真さんと結婚してよかった思える人生を送りたいです」

理想とは全く違うが、生涯の終着点まで彼と歩み続けたい。









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