ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
欲しい物と言われても、俺はお義父さんの一番大切な物を奪った身。

それに今欲しい物なんて何もなかった。


「今欲しい物はありません。俺はお義父さんの溺愛していた娘の小陽さんを頂きました憎き男ですし」

「私は君を一度も恨んだ覚えはない」

「本当ですか?だって、初めて親父と挨拶に来た日。凄く不機嫌だったでしょ?」

「…過ぎた話だ。もう忘れた・・・それよりもお腹空いていないか?拓真君」

お義父さんはワザと話を逸らす。


「欲しい物は有りませんが、俺もお腹空きました。ランチはお義父さんの奢りでお願いします」


「分かった・・・」

俺とお義父さんは再び樋口家の墓に手を合わせ、踵を返した。


俺の半分位の背丈しかなかった敦司君。

彼は俺よりも大きな存在に成長し、父親と同じ総理の椅子に座った。


「私は二度命を救われている」

「!?」

「一度は樋口さん、二度目は妻の父親だ」

「へぇー」

「こうして二人に命を救って貰わなければ、今こうして生きてなかったと思う」

一瞬だけお義父さんの瞳に揺らぎが見えた。
暴漢から庇い、命を失った壱真に対する罪悪感のキモチかもしれない。


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